なぜ、子ども部屋は4.5帖が”普通”になったのか。
間取り・暮らしのアイデア
2026/10/04
目次
家づくりの打ち合わせをしていると、最近よく出てくる数字があります。
「子ども部屋は4.5帖くらいで。」
少し前まで、子ども部屋といえば「6帖」がひとつの目安でした。
ベッドがあって、学習机があって、本棚があって、クローゼットがある。
自分自身の子ども時代を思い返しても、そんな部屋を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
ところが最近の注文住宅では、4.5帖前後の子ども部屋も珍しくありません。
実際、現在の住宅情報でも「4.5帖または6帖」が子ども部屋の一般的な目安として紹介され、コンパクトな子ども部屋を選ぶ家庭も増えています。
では、なぜ子ども部屋は小さくなったのでしょう。
住宅が高くなったから。
家そのものがコンパクトになったから。
もちろん、それも理由のひとつだと思います。
でも、それだけではなさそうです。
もしかすると変わったのは、
子ども部屋の広さではなく、“家族の暮らし方”なのかもしれません。
6帖の中には、たくさんの役割があった

少し前の子ども部屋を思い浮かべてみます。
勉強する。
寝る。
着替える。
本を読む。
ゲームをする。
友達と遊ぶ。
自分の荷物をしまう。
子どもがすることの多くが、「自分の部屋」の中で完結していました。
だから、ベッドと机と本棚と収納を置けば、それなりの広さが必要になります。
6帖という広さには、
子どもの暮らしを一部屋の中にまとめる
という意味もあったのだと思います。
でも、今の家は少し違います。
勉強する場所が、子ども部屋ではなくなった

「宿題はリビングでしています」
という家庭は、今では珍しくありません。
キッチンで夕飯をつくりながら音読を聞いたり。
ダイニングで宿題をして、分からないところだけ親に聞いたり。
リビングの一角にスタディスペースをつくったり。
「勉強=自分の部屋でするもの」
ではなくなってきました。
すると、子ども部屋から学習机がなくなります。
それだけでも、必要な面積は少し変わります。
洋服も、自分の部屋に置かなくなった

最近の住宅で増えたもののひとつに、ファミリークローゼットがあります。
家族の洋服を一か所にまとめる。
洗濯物を取り込んで、そのまま近くに収納する。
わざわざ各部屋まで運ばない。
これは「家事ラク」という視点ではとても合理的です。
でも同時に、
子ども部屋に大きなクローゼットをつくらなくてもいい、
ということでもあります。
勉強する場所が外へ出た。
収納も外へ出た。
遊ぶ場所はリビング。
本を読むならヌックやソファでもいい。
そうやって考えていくと、
昔は子ども部屋の中にあった機能が、
少しずつ家全体へと広がっている
ことに気づきます。
では、6帖から消えた「1.5帖」はどこへ行ったのか
ここが、個人的には一番面白いところです。
子ども部屋が6帖から4.5帖になった。
数字だけを見ると、
「子どものスペースが小さくなった」
ように見えます。
でも、本当にそうでしょうか。
その1.5帖分で、
リビングを少し広くするかもしれない。
家族みんなで使える本棚をつくるかもしれない。
スタディカウンターをつくるかもしれない。
ファミリークローゼットをつくるかもしれない。
小さなヌックをつくるかもしれない。
つまり、
子どもだけが使う1.5帖を、家族みんなが使う1.5帖に変えている。
とも考えられます。
これは単なる「省スペース」とは、少し違います。
家の面積を、
個室に分配するのか。
家族の共有空間に分配するのか。
その価値観が変わってきたのではないでしょうか。
「自分の部屋」がすべてだった時代から
もちろん、子どもにも一人になれる場所は必要です。
中学生、高校生になれば、プライバシーも大切になります。
だから、
「子ども部屋は小さければ小さいほどいい」
という話ではありません。
4.5帖が正解で、6帖が間違いということでもありません。
ただ、
子ども部屋ですべてを完結させなくてもいい。
という選択肢が増えた。
これは大きな変化だと思います。
自分の部屋で本を読む日もあれば、
リビングで家族と一緒に読む日もある。
一人で宿題をする日もあれば、
ダイニングで「これ分からない」と聞く日もある。
自分の部屋で好きな音楽を聴く時間もあれば、
家族みんなで映画を見る夜もある。
個室と共有スペースを行ったり来たりしながら、
子どもは少しずつ自分の世界をつくっていく。
そんな暮らし方なら、
子ども部屋に必要なのは、
何でも揃った「小さな家」ではなく、
安心して一人になれる、自分だけの居場所
なのかもしれません。
子ども部屋は、ずっと「子ども部屋」ではない
もうひとつ、家を建てるときに忘れやすいことがあります。
子どもが、その部屋を子ども部屋として使う期間は、
家そのものの寿命と比べれば、それほど長くありません。
小さいうちは親と一緒に寝る。
成長してから個室を使い始める。
そして、いつか家を出るかもしれない。
30年、40年、50年と続いていく家の中で、
「子ども部屋」として使われる時間は、その一部分です。
だからこそ、
今の子どものためだけに面積を決めるのではなく、
その後どう使えるのかまで考えておく。
書斎になるかもしれない。
趣味の部屋になるかもしれない。
帰省した子どもが泊まる部屋になるかもしれない。
家も、家族と一緒に役割を変えていきます。
大切なのは、何帖あるかではなく

家づくりをしていると、
「LDKは何帖?」
「寝室は何帖?」
「子ども部屋は何帖?」
と、どうしても数字が気になります。
もちろん、広さは大切です。
でも、
4.5帖の子ども部屋だからできない暮らしがあるのではなく、
その4.5帖以外をどうつくるかで、暮らしは大きく変わります。
子どもが本に出会う場所。
家族で話す場所。
一緒に料理をする場所。
好きなことに夢中になる場所。
一人でぼんやりする場所。
そんな場所が、家のあちこちにあればいい。
子ども部屋が小さくなったのは、
子どもの居場所を小さくしたからではなく、
「家全部が、子どもの居場所になってきたから」
なのかもしれません。
安心して眠れる自分の部屋があって。
扉を開ければ、暖かいリビングがあって。
そこには家族がいて、本があって、音楽があって、会話がある。
私たちは、
そんなふうに家全体で子どもの成長を包める住まいを考えていきたいと思っています。
大橋実加
広報担当
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